犬の食物アレルギーを疑ったら
同じ症状でも、原因は食物とは限りません。まず疑い方の順番から。
1. その症状、フードのせいとは限らない
慢性的な痒み、外耳炎、軟便、過度な毛づくろい。どれも食物アレルギーで起こりますが、ノミや環境アレルギー(アトピー)、感染症でも同じ症状が出ます。
だから「フードを変えれば治る」と決める前に、まず獣医師で他の原因を消していく。これが遠回りに見えて一番早い順路です。
(本ページは参考情報で、診断ではありません。食事の変更は必ず獣医師と。急な食事制限は栄養の偏りを招きます。)
2. 原材料ラベルには「隠れ」がある
食物アレルギーで多い原因は特定のタンパク源——鶏・牛・乳・卵・小麦・大豆・とうもろこし等です。厄介なのは、原材料表示が畜種をぼかせること。
- 「肉類」「動物性油脂」「ミートミール」——こう書かれていたら、鶏か牛かは分かりません。
- 「家禽(かきん)」は鶏・七面鳥・鴨などの総称。鶏と言い切れません。
- チキンミールや鶏脂のような別名で鶏が入っていることも。チキンフリーをうたっていても、包括表記に紛れている場合があります。
つまり「原材料に鶏と書いていない=鶏フリー」ではありません。まず今のフードの原材料を、別名・包括表記込みで確認するところから。無料の判定ツールで7項目を一度に照合できます。
3. 除去食(除去試験)の基本
原因を実際に確かめる標準的な方法が除去食(除去試験)です。考え方はシンプルですが、正しく行うには厳格さと期間が要ります。必ず獣医師の指導下で行ってください。
- 単一の新規タンパク、または加水分解タンパクの食事にする。新規タンパク=これまで食べたことのないタンパク源。加水分解=タンパクを免疫が認識しにくい大きさまで分解した療法食。どちらを選ぶかは獣医師と相談します。
- その食事だけにする。期間中は、おやつ・人の食べ物・風味付きのサプリや薬・歯みがきガムも含めて、指定の食事以外を与えない。1つでも混ざると試験が台無しになります。
- 8〜12週間続ける。皮膚症状の改善には数週間〜2か月ほどかかることが多く、短期間では判断できません。途中で良くなっても、期間はやり切ります。
よくある誤解:「数日〜2週間フードを変えれば分かる」。実際の除去試験は8〜12週間が目安です。市販の「アレルギー対応」表示だけで選ばず、何を避けるべきかを原材料から確認し、獣医師と食事を決めるのが近道です。
4. 再導入(チャレンジ)で原因を特定する
除去食で症状が落ち着いたら、元の食材を1つずつ戻して、症状が再発するかを見ます。再発したらその食材が原因の可能性が高い、と絞り込めます。ここも獣医師と計画的に。自己流で一気に戻すと、何が原因か分からなくなります。
5. やってはいけないこと
- 頻繁なフードの切り替え。良かれと思って次々変えると、何が合って何が悪いのか永遠に分かりません。
- おやつを「少しだけ」許す。除去試験中は例外なし。風味付きの薬も獣医師に確認を。
- 「アレルギー対応」表示だけを信じる。表現に統一基準はなく、包括表記に対象タンパクが紛れることもあります。原材料そのものを確認しましょう。
6. 受診の目安
皮膚をかき壊して出血・脱毛がある。下痢や嘔吐が続き、食欲が落ちている。耳のにおいや赤みが強い。症状が急に悪化した。——早めに獣医師へ。確定診断と食事設計は獣医師の領域です。
まとめ:①原因は食物とは限らない=まず獣医相談。②原材料は別名・包括表記込みで確認。③除去食は単一新規または加水分解タンパクを8〜12週間、獣医師の指導下で厳格に。④再導入で原因を特定。⑤頻繁な切替と「少しだけ」の例外はしない。
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出典:ペットフード公正取引協議会「ペットフードの表示に関する公正競争規約」、AAFCO 原材料定義、一般的な獣医療の除去食プロトコル。特定の商品・メーカーを推奨するものではありません。